top of page

モニターコントローラーを使用した音楽制作ワークフローの変化

執筆者の写真: HayakumoHayakumo


音楽制作におけるモニターコントローラーとは?


この記事では、音楽クリエイターの皆さんに向けて、スタジオワークをより便利にする「モニターコントローラー」について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。



 

そもそもモニターコントローラーとは何か?


モニターコントローラーを簡単に説明すると、主に以下2つの機能が挙げられます。


・楽曲制作時の音量のコントロール

・2台以上のモニタースピーカーの切り替え


もともと、レコーディングスタジオにある大きなミキサーには、スタジオ内で鳴らすモニタースピーカーの音量をコントロールする機能が備わっていました。


現在では自宅で楽曲制作を行うことが一般的になり、かつてはスタジオでしか行えなかった工程を自宅でも出来るようになりました。しかし、大きなミキサーを自宅に導入するのは難しいため、モニタースピーカーの音量コントロール部分だけを抜き出した"モニターコントローラー"が誕生しました。


 

モニターコントローラーって使わないといけないの?


「モニターコントローラーは本当に必要なのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。結論から言えば、導入することで以下のようなメリットが得られます。


  1. 複数あるモニタースピーカーの切り替えが出来る

  2. DAW以外のオーディオ信号もモニタースピーカーから再生できる

  3. 楽曲制作時のボリューム調整を瞬時に行える


それでは、これら3つのメリットについて順番に見ていきましょう。


 

1.複数あるモニタースピーカーの切り替え

〜2台以上のモニタースピーカーを使用する理由〜


自分が制作した楽曲を、別の環境で聴いたときに「思っていたバランスと違う…」と感じたことはありませんか?


実際の制作現場では、ミックスバランスをより正確にチェックするために、複数のスピーカーを切り替えながら聴くことがあります。たとえば、以下のような組み合わせが代表的です。


メインモニター+小型スピーカー

メインモニター+PCスピーカー


制作側が使う本格的なモニタースピーカーだけでなく、リスナーが普段使っているようなシステムでもモニタリングすることで、より幅広い環境に対応できるバランスを確認できます。特に最近は、クリエイター自身である程度のミックスを行うことが一般的になっており、複数スピーカーでのチェックは、欠かせない工程になりつつあります。


 

2.DAW以外の信号もモニタースピーカーで鳴らせるように

~“音を出したい”ときにすぐ鳴らせる環境~


自宅で楽曲制作をしている人の多くは、オーディオインターフェイスにギターやシンセサイザーなど、さまざまな楽器を接続しているかもしれません。しかし一部の製品では、PCを立ち上げないと音を出力出来ない仕様になっていることがあります。


その点、ミキサーを経由させてモニターコントローラーの2系統目の入力に接続しておけば、PCを起動していなくてもスピーカーから音を出すことが可能になります。もし録音したい場合は、ミキサーの「ALT OUT」や「AUX OUT」などをオーディオインターフェイスに繋げばOKです。こうした仕組みにより、必要なときにすぐ音を出せる、利便性の高い制作環境が整います。


 

3.楽曲制作の上でのボリューム調整が瞬時に

〜なぜDAWの外での音量調整が必要か?〜


モニターコントローラーを導入すると、DAW内部のデジタル上の制約に左右されずにスピーカーの音量を自在にコントロールできます。その結果、作業中のストレスが減り、楽曲制作により集中しやすくなります。


皆さんの中には、DAWソフトウェアのピークメーターがこのように常に赤色になってしまうような経験はありませんか?




制作の初期段階はトラック数が少ないので、各トラックが0dBを超えることをあまり気にしなくても済む場合が多いです。


ところが、曲作りが進むうちにトラック数が増え、最終的なミックスダウンに入る頃には、Masterトラックのピークが0dBを超えてしまう事が多々あります。こうした状態で2Mix(最終的なステレオデータ)を書き出すと、音が歪んだりクリップしてしまい、満足な仕上がりにならないことがあります。


その為、プロの現場ではMasterフェーダーは基本的に触らず、各トラックの音量を調整しながら「0dB」を超えないように作業します。


また、制作の序盤からマキシマイザーを入れて音圧を稼いでしまうと、最終的な2Mixの書き出し時に音が飽和してしまい、これも良い結果になりません。


各トラックの音量はそれぞれのフェーダーやプラグインで調整し、Masterフェーダーには余計な負荷をかけないようにすることで、最終的な音質を安定させることができます。


さらに、楽曲制作の途中、Masterフェーダーを使用してモニター音量を調整すると、次のようなデメリットが考えられます。


Masterフェーダーを使用したモニターバランス調整のデメリット


1.リファレンスレベルの把握が難しくなる


Masterフェーダーを頻繁に動かすと、「いまの音量」が適正なのかどうかを客観的に判断しづらくなってしまいます。


制作全体のリファレンスレベルを一定に保つためにも、Masterフェーダーは基本的に「0dB」に固定し、トラック側でバランスを整えていく方法が推奨されます。


2.ピークメーターの正確な計測ができない


Masterフェーダーを「0dB」固定にしていない状態だと、正確なピーク値を把握することが困難になります。


特に、Masterフェーダーを「0dB」より下げた状態だと、実際にはMasterトラックに入る段階で音がクリップしていても、メーター上ではクリップしていないように見えます。そのため、それに気付かないまま作業を続けてしまう可能性があるのです。


3.デジタル処理による音質変化のリスク


DAWソフトウェアの内部でMasterフェーダーを動かして音量調整を行うと、フェーダーを上下に動かすたびに行われるボリューム演算の影響を受けます。


近年のDAWソフトウェアは「浮動小数ビット深度」で内部演算を行っている為、量子化誤差がきわめて小さく抑えられていますが、Masterフェーダーを動かした場合に音質に与える影響が一切無いとは言い切れない為、Masterフェーダーは「0dB」固定で制作を行うことが推奨されています。


 

最適なモニターバランスはDAWソフトウェア外でコントロール


このように、楽曲制作の様々な工程において、最適なモニターバランスを得るためには、DAWソフトウェア外でコントロールする必要があります。


そこで活躍するのがモニターコントローラーです。




モニターコントローラーを挟むと音が劣化するのでは?


「モニターコントローラーを挟むと音が劣化するのでは?」という意見をよく耳にします。確かに、オーディオインターフェイスとスピーカーの間に機器をひとつ挟むため、音質に何らかの影響があるのは事実です。


だからこそ、使用するモニターコントローラーは慎重に選ばなければなりません。品質の良くないものを使うと、音がこもるなどの問題が生じ、本来向上させたかった環境を逆に悪化させかねません。特にハイエンドのオーディオインターフェイスを使っている方は、導入する製品に注意する必要があります。


現在のオーディオインターフェイスのサウンドが気に入っていて、その状態をなるべく保ちつつモニターコントローラーを導入したい場合は、品質の良い“パッシブタイプ”を選択することをオススメします。


 

モニターコントローラーにおけるパッシブ&アクティブタイプの違いと特徴


モニターコントローラーには、主に“パッシブタイプ”と“アクティブタイプ”の2種類があります。その見分け方は「電源を必要とするかどうか」です。電源が必要なのはアンプを内蔵しているアクティブタイプで、不要なものがパッシブタイプと考えて下さい。


パッシブタイプ


パッシブタイプはアンプを内蔵していないため、機材自体が音を増幅することは出来ません。オーディオインターフェイスから出力される音量が最大値となり、そこから音を“減衰”させてコントロールします。質の高い製品であれば、音質への影響は最小限に抑える事ができます。


アクティブタイプ


アクティブタイプはアンプを内蔵しているので、オーディオインターフェイスの音量よりさらに大きくできます。ただし、その分メーカーのアンプ特性が音に影響を及ぼすため、オーディオインターフェイスとの相性にも注意が必要です。


 

初めてのモニターコントローラーを選ぶ基準


オーディオインターフェイスの特性を素直に出したいなら”パッシブタイプ”


自分のオーディオインターフェイスの音が気に入っており、極力音質を変えたくない場合には、パッシブタイプをおすすめします。音質を最優先にするなら、パッシブタイプがベストな選択肢と言えます。


「ヘッドフォン(ヘッドホン)端子」や「Talkbackマイク」等の多機能なものが必要なら"アクティブタイプ”


「音質」よりも「多機能」であることが重要な場合は、アクティブタイプのモニターコントローラーを選択するしかありません。


アクティブタイプはレコーディングブースとのコミュニケーション用Talkbackマイクの搭載や、複数系統のヘッドフォン端子など、多彩な機能を備えた製品が揃っています。


ただし、電源回路やアンプを内蔵する分、音質への影響はパッシブタイプより大きくなる点に注意が必要です。


 

最優先事項は音質!!”妥協したくない”ならHAYAKUMO「izarai」



izaraiは、Made in Japanの高品質パーツを使用した、スタジオユースのパッシブモニターコントローラーです。パッシブの最大の利点はシンプルな構造で電子回路を持たない事にあります。


つまり、原音に余計な変化をもたらす事なく、サウンドを再生・コントロール出来るという事です。日々、音と向き合い細かなニュアンスを追求するエンジニアやクリエイターにとっては、非常に重要なポイントです。


私たちはその点に着目し、日本国内で製造する高品質なパーツとシンプルな回路設計により、より高い次元で原音の忠実性を実現しました。


またエクステリアにおいても、その音質特性をビジュアライズしたデザインを施し、ハイエンドなルックスと質感を兼ね備えています。プロの現場目線で追求されたモニターコントローラー「izarai」についてはこちら


閲覧数:14回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


©2019 by HAYAKUMO Ltd.

bottom of page